ヘッジ会計とはなんでしょうか??
名前自体は会計に携わった人であれば知っていると思います。
しかし、ヘッジ会計は全ての会社で適用される会計基準ではなく、例えば自分が勤めている会社がデリバティブ取引などを実行していない限りは論点として触れないことになります。
なので、経理の知見を有する人でもあまり詳しくないということは珍しくありません。
そのくらいヘッジ会計は特殊な処理であると言えそうです。
そんなヘッジ会計ですが、あまりちゃんとした理解がなされていないように思います。
とりわけ、公正価値ヘッジとキャッシュフローヘッジについての相違についての理解は不足していますね。
そこで本項では、キャッシュフローヘッジの原型について取りまとめ見たいと思っています。
Contents
ヘッジ会計とは何か?
ヘッジ会計って実際のところあまりよくわからないですよね。
まずは定義を見てみましょう。
ヘッジ会計とは、ヘッジ対象とヘッジ手段の損益計上のタイミングを合わせることによってヘッジの効果を会計に反映させるための会計処理です。
この定義はそこまで難しくはないので、内容はなんとなく理解していただけるとは思います。
もう少し噛み砕いて言えば、ヘッジしたいものとヘッジするために使うものにおける損益の認識時期を一緒にすることでヘッジの効果を適切に会計に反映させるためのものです。
それではなぜヘッジ会計が必要となるのでしょうか。
それは、ヘッジしたいものと(ヘッジ対象)とヘッジするために使うもの(ヘッジ手段)に対して、ヘッジ会計ではない処理を行なっている場合、すなわちそれぞれの取引においてそもそも適用される会計処理を行なっている場合は、他の基準等による処理が行われてしまい、結果としてそれでは経営者が考えるヘッジの意図が財務諸表に表されないことになってしまうからです。
経営者の意図を的確に財務諸表に反映させる。
これは現代の会計の基本にある考え方の一つであります。
むろん、経営者の意図の全てを的確に財務諸表に反映させることはできません。
例えば、実態がないにも関わらず、利益はこのくらい欲しんだが!というような経営者の意図はもちろん反映させることはできません笑。
ヘッジ会計の種類とは?
ヘッジ会計は何をヘッジするのかの観点から二つに分類されることが一般的です。
それは、①将来キャッシュフロー、②公正価値の変動によるPLチャージされる損益のいずれかです。
①の将来キャッシュフローをヘッジする場合はキャッシュフローヘッジと呼ばれ、②の公正価値の変動による損益をヘッジする場合は公正価値ヘッジ(フェアバリューヘッジ)と呼ばれる。
以下ではそれぞれのタイプのヘッジに関して説明を行います。
キャッシュフローヘッジ
[box04 title=”キャッシュフローヘッジとは?”]
実際に取引がまだされていない取引にかかる将来のキャッシュフローを固定したいという時にデリバティブ取引などを用いることで実施する手法
[/box04]
公正価値ヘッジ(フェアバリューヘッジ)
[box04 title=”公正価値ヘッジとは?”]
すでにBSに計上された取引についての価格変動によりその変動額をPLにチャージすることが原則の場合に、その変動によって認識される損益を平準化したい場合に用いる手法
[/box04]
キャッシュフローヘッジと公正価値ヘッジの相違点
公正価値ヘッジとキャッシュフローヘッジの相違点は会計士でも説明はなかなか難しいはずです。
そもそも会計基準にもざっくりしか記載がないので、それも仕方ないですね。
公正価値ヘッジとキャッシュフローヘッジの相違点。
それは、上記でもわかったかもしれませんが、まずは、ヘッジ取引を開始する時点でBSに計上されているかどうか、です。
例えば、その他有価証券を考えてみましょう。
・公正価値ヘッジ…為替相場の変動によって生じる損失を抑えるために設定されるもの
(例:1,000$の貸付金を1$=100円に固定→為替レートが変動しても100,000円貰える)
・キャッシュフローヘッジ…為替相場の変動によって変化する支出額を固定化するもの
(例:変動利息から
キャッシュフローヘッジの原型は満期保有目的の債券に関する会計処理に現れている??
満期保有目的の債券の会計処理は、取得原価で評価を行うというものです。
つまり、満期まで保有することを意図して購入した債券であれば、満期日に債券の額面金額と満期までに支払いが行われる利息の受け取りに関するキャッシュフローを企図するのであれば、債券のフェアバリュー自体が変動しても、その変動差額を損益として認識することは投資の成果を適切に表してないと言える。
現代の会計基準は経営者の意図をできる限り財務諸表の中で表象することを意図している。無論、このような観点は少しずつ変容を遂げているという指定もあるので、一概には言えない。
為替予約の独立処理と振当処理について理論的にどっちが妥当なのか?
なんとなく、独立処理の方が為替予約の会計処理としては理論的に正しいと思ってる方が多いのでないでしょうか。
というのも、独立処理はそれまでの振当処理とは異なり、時価評価をするからです。
なんとなーく、時価評価する会計処理の方が、時代の先端を行ってる感がありますよね笑。
しかし、実はどちらかというと、振当処理の方が理論的であるとも考えることができるのです。というか、先ほどの経営者の意図を的確に財務諸表に反映させるという考えからすると、むしろ振当処理の方が理論的であると評することも可能です。
どういうことでしょうか。
キャッシュフローの原型については斎藤静樹先生の著書で言及されている。
ここまでお読みなられた方はもっとキャッシュフローヘッジに関して勉強してみたいという気持ちになられたでしょうね!
そこでおすすめなのが、以下の書籍となります。