予想信用損失とは何か?IFRS9号における新しい減損の考え方を理解する!

IFRS9が施行され、すでに新しい減損の考え方が導入されています。

日本基準ではまだこの新しい減損の考え方は導入されていませんが、それも時間の問題かと思われます。

日本基準でもこの予想信用損失の考え方が導入された場合に備えて、今から予想信用損失の考え方を理解しておくことは有意味です。

そこで本稿ではまずは予想信用損失に関するざっくりとした理解をすることを目的とします。

予想信用損失とは

期末時点に当該金融商品に関する信用損失が実際に発生していないとしても将来に発生することが予想される場合には減損を認識すべき、という考え方になります。

なぜ予想信用損失の考え方ができたのか?

そもそもIFRSでは金融商品の減損を認識する考え方としては発生信用損失の考え方を採用していました。

これは実際に信用損失が発生したタイミングで金融商品の減損を認識すべき、という考え方です。

この考え方に依拠しますと、金融商品に信用損失が将来において発生しそうだなと経営者が把握していたとしても減損損失を認識しないということになってしまいます。

このため、リーマンショックの時に生じた金融危機において減損の認識が遅れたことが危機を拡大した一因であると批判されたことにより、予想信用損失の考え方が出てくることになりました。

予想信用損失の計算の仕方

 

[box05 title=”予想信用損失の計算の仕方!”]

倒産確率(PD)✖️倒産時損失率(LGD)✖️倒産時エクスポージャー(EAD)

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PD(probability of default)

probability of default(PD)とは倒産確率のことです。

文字通り、会社が倒産する確率のことです。

PDを算出する際には会社がどのステージに属しているかが重要になります。

倒産確率を求めるにはどの期間において倒産するのか、という観点が必要となるからです。

LGD(loss given default)

loss given defalut(LGD)とはデフォルト時の残高に対する最終的な損失額の割合のことです。

つまりデフォルトによって投資している企業が被る損失額のことです。

EAD(exposure at default)

exposure at default(EAD)とはデフォルト時の残高のことです。

単にエクスポージャーということもあります。

エクスポージャーと表現する場合はリスクに晒されているという意味合いを強調する感じで使われます。

感覚的に言えば、リスクオンの状態にある資産と言えます。

単純に残高と言わないのは担保等があるのであればそれを考慮することになるためです。

つまり債券残高のうちリスクにさらされている金額、債券残高からリスクヘッジとなる担保等を控除した後の金額をexposure at default(EAD)として表現しています。

GPPCペーパー

2016年6月に公表した「銀行によるIFRS9号の減損要求の適用ーシステム上重要な銀行のガバナンスに関与する関係者の検討のために」があります。(なお添付URLはデロイトトーマツが作成した資料になります。)

これは銀行が信用損失をどのように計算するかをある程度具体的に示したものです。

予想信用損失の考え方を理解するためには非常に参考となる資料です。

まとめ

予想信用損失についての概要は理解できましたでしょうか。

金融機関以外の企業にとっては、あまり詳細まで知っている必要はないのかもしれませんが、基本的な考え方等については、押さえておくことが有用かと思います。