決算書の読み方シリーズ。
今回は「減損損失」についてです!
減損損失が計上されると何か悪いことのように想う人が多いかもしれませんね。
しかし、一概にそうだとも言えません。
会計基準に従って粛々と、減損損失を計上することもあるからです。
大切なことはその企業が将来にわたってキャッシュフローを獲得することができるかどうかです。
現代ファイナンス理論的には、株価はその企業が将来に獲得するであろうキャッシュフローの割引現在価値となります。
そのため、キャッシュフローの予測が大事になりますが、その意味でも減損損失が一体なぜ発生したのか、その要因はなんなのかを理解することは大切になります。
減損損失が決算書で計上される箇所はどこか?
減損損失が計上される区分は日本基準とIFRS、米国会計基準では異なります。
日本基準 | 原則として特別損失として計上されます。 |
---|---|
IFRS | 営業損益として計上されます。 |
米国基準 | 営業損益として計上されます。 |
IFRSと米国基準には日本基準で言うところの特別損益の区分はありません。
これは、従前は特別損益の区分があったのですが、お行儀の悪い会社が営業損益を綺麗に見せたいという思惑から、なんでもかんでも特別損益の区分に計上するというような事例が散見したことから、廃止したことによります。
減損損失を一言で言うと??
[box05 title=”一言で言うと!”]
経営者による投資の失敗を決算書に表現すること!
[/box05]
つまり減損損失が計上されるということは、経営者が行った投資が失敗ないしはリクープできなかったということを経営者自らが認めた上で、その事実を会計に反映させるということを意味します。
減損損失が計上された場合の株価への影響は?
ファイナンス理論的には減損損失が計上されたとしても株価への影響はないはずです。
正確にいえば、中長期の株価への影響はない、というのが正しいかもしれませんが。
というのも、減損損失は過去のキャッシュアウトフローの配分に過ぎず、これ自体将来のキャッシュフローに影響を及ぼさないからです。
しかし、減損損失が計上される場合において、企業のキャッシュフロー獲得能力が落ちた結果として、減損損失が計上された場合は、将来キャッシュフローにも影響を与えることになります。
その場合は、株価にも影響を与えるでしょう。
つまり、減損損失が計上された場合は、その要因を確かめることがとても大事になります。
もっとも、こちらもファイナンス理論的には将来キャッシュフローが株価に影響を与えると考えますが、実際には、少なくとも短期的には株式市場は公表される利益の金額によって影響を受けることになります。
この点は学術的な検証が必要となってきますが、実はファイナンス理論にも修正が必要なのかもしれないという指摘も起こるかもしれませんね。
[box04 title=”減損損失が計上された場合!”]
減損損失が計上された!→その要因を確かめ、企業の将来キャッシュフロー獲得能力が落ちたと思われる場合は、株価のダウンサイドリスクを評価すべき!
[/box04]
終わりに
減損損失についての理解は深まったでしょうか?
減損損失が計上された場合には、企業のキャッシュフロー獲得能力に変化が生じていないかどうかを確認してみてください!