労働者派遣に係る事業の許可審査に係る中間又は月次決算書に対して公認会計士が行う監査および監査証明について

一般労働者派遣事業等を行う場合は厚生労働省の許可がなければ開業することができないことになっています。

この厚生労働省への許可を申請する際に、場合によっては公認会計士監査が必要となることがあります。

つまり、労働者派遣および人材派遣を業としている事業者は公認会計士による監査が必要になる可能性があるのです。

もちろん、「場合によっては」と記載しましたので、必ず必要となるというわけでありません。
ある一定の条件のもとで一般労働者派遣事業等を行う場合は公認会計士等の監査証明が必要となるのです。

そこで、本稿ではどのような場合において、労働者派遣を業としている事業者が公認会計士による監査が必要となるのかなどについて整理をするとともに、一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等が行う監査について、取りまとめてみます。

Contents

一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等が行う監査はどういう場合に必要になるの?

結論から申し上げますと、一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等の監査は多くの場合は不要かもしれません。

というのも、最近(直近の決算月のこと。例えば、3月決算の会社であれば、3月のことを言います。)の貸借対照表及び損益計算書が下記のすべての要件を満たしているのであれば、公認会計士等の監査証明は不要となります。

しかし、これらの要件が満たされていない場合は、要件を満たすように預金等を増やすした上で、決算月の翌月以降の任意の月次決算を行った貸借対照表および損益計算書、株主資本等変動計算書につき、公認会計士等により監査を受け、監査証明を添付して労働局に提出し審査を受けることになります。

そこで、まず、要件を整理してみましょう。

①基準資産要件

資産(繰延資産及びのれんを除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が 20 百万円(職業紹介事業にあっては、新規許可時は5百万円、更新時は3百50万円であり、以下「20 百万円等」という。)に当該事業主が一般労働者派遣事業等を行う(ことを予定する)事業所数を乗じた額以上(以下「基準資産要件」という。)

上記の内容では少しわかりづらいと思います。

理解しやすいように次のように考えると良いでしょう。
[box05 title=”一般労働者派遣事業”]1事業所あたりの基準資産額が2000万円以上[/box05]

ただし、これは職業紹介事業ではない場合の要件です。
職業紹介事業の場合は次のようになります。
[box05 title=”職業紹介事業”]1事業所あたり基準資産額が500万円以上(更新申請時は350万円以上)[/box05]

②負債比率要件

当該基準資産額が負債の総額の7分の1以上(以下「負債比率要件」という。)

負債比率要件の方は理解しやすいと思います。

③現金預金要件

③ 事業資金として自己名義の現金預金額が15百万円に当該事業主が一般労働者派遣事業を行う(ことを予定する)事業所数を乗じた額以上(職業紹介事業にあっては、事業資金として自己名義の現金預金額が150万円に当該事業主が職業紹介事業を行う(ことを予定する)事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上)(以下「現金預金要件」という。)

以上の内容をまとめてみますね。

[box04 title=”一般労働者派遣事業の決算書が満たすべき要件”]
①基準資産要件:1事業所あたりの基準資産額が2000万円以上
②負債比率要件:基準資産額が負債の総額の7分の1以上
③現金預金要件:1事業所当たり自己名義の現金および預金額1500万円以上
[/box04]

 

[box04 title=”職業紹介事業の決算書が満たすべき要件”]
①基準資産要件:1事業所あたり基準資産額が500万円以上(更新申請時は350万円以上)
②負債比率要件:基準資産額が負債の総額の7分の1以上
③現金預金要件:己名義の現金および預金残高が、150万円+(職業紹介をする事業所数-1)X60万円
[/box04]

一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等が行う監査には二種類ある!

実は、一言に監査と言っても、純粋な意味での「監査」と「合意された手続」によるものとの二種類あります。

会計士等の監査証明の可否は下記の表の通りになります。
[box05 title=”どのような証明が必要か”]

新規申請 更新申請
前年度の決算で要件をすべて満たした場合 不要 不要
前年度の決算書で要件を満たしていないが、その後翌事業年度までの任意の月ですべての要件を満たした場合 必要 必要(但し、合意された手続(注)によることも可)

注:合意された手続(AUP=Agreed Upon Procedures):監査は決算書全体についてその妥当性を検証し、その妥当性についての意見を表明するものとなりますが、これに対して、合意された手続とは、決算書の一部やある特定の項目のみを企業の依頼に基づいて検証するものです。

[/box05]

ただし、この議論は少し専門的なものとなりますので、ここでは、なんとなくフルフルで監査をしないといけないパターンと少し簡略化してもよいパターンの二つがあるんだな程度の理解で十分でしょう。

一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等が行う監査の内容

一般労働者派遣事業の申請を満たすための監査では、通常以下の4種類を実施します。

(1)まずは前年度の決算書の妥当性を検証します。

公認会計士の監査が必要となるケースについて今までの解説で理解していただいたかと思います。

公認会計士の監査が必要なケースの場合は、①前年度の決算書では要件を満たしていない場合であり、かつ、②当期の任意の月において要件を満たした場合となります。

そうすると、前提として、「前年度の決算書が正しいこと」が必要となります。

そこで、一般労働者派遣事業に係る監査ではまず、前年度の決算書の妥当性の検証から開始することになります。

その際には、金額的な重要性や質的な重要性を考慮に入れ、計上根拠資料等と各勘定科目の金額の照合を行なっていきます。

一般的には売上高や売掛金などの事業の中心となる勘定科目の検証がメインに行われることになります。

(2)次に申請の対象と月次決算の妥当性を検証します。

前年度の決算書の妥当性を検証したあとは、現金預金要件などを基準満たすようになった任意の月の決算書の妥当性を検証します。

ここで、よくある疑問としては次のようなものかと思います。

それは、基準を満たすことのみを確認すれば良いはずなのに、なぜ他の勘定科目の妥当性まで検証するのか?ということです。

一見すると、この議論は正しいような気もします。

基準を満たしているかどうかが重要なのだから、そこのみを見るのではないか、と。

しかし、これは誤っています。
なぜでしょうか?

それは、決算書というのは全体が正しくない場合は、構造上、一部分が誤ってる場合は、それに付随して他のどこかも誤っていることになるからです。

そのため、やはり、決算書全体が正しいかどうかを検証する必要があることになります。

ここでも、金額的な重要性や質的な重要性を考慮に入れながら、必要に応じて、証憑突合などを実施することで、決算書の各勘定科目の妥当性を検証していきます。

(3)前年度末から対象月までの期間における主な増減の内容

対象月までの期間における各勘定科目の増減理由を調査します。

ここで大きな増減が生じている場合はその理由を聴取するとともに、必要に応じて計上根拠資料を閲覧し、金額や計上時期が妥当であるかどうかを確認します。

これを監査基準においては前者をリスク評価手続、後者をリスク対応手続と呼びます。

つまり、増減の有無やその理由を調べることをリスク評価手続と呼び、理由に応じた計上根拠資料の確認および金額や計上時期の妥当性の確認のことをリスク対応手続きと呼びます。

公認会計士による監査ではこのようにリスク評価手続を実施し、リスクが発生したと認識された場合はそれへの対応手続を実施することで、監査を実行していきます。

このような監査の手法の流れについては一般労働者派遣事業等を行う場合は公認会計士等の監査証明においても同様となります。

すなわち、まずは決算書自体を各勘定科目の数値の動きなどの把握、会社を取り巻く事業環境の理解などを通じて、当該会社の決算書において誤っている可能性のある項目を絞り込んでいきます。

これがリスク評価手続です。

次にこのリスク評価をした結果として、リスクが生じていると判断された項目を中心として、証憑との一致を確認したり、計上時期が適切かどうかなどを確認していくことになります。

これがリスク対応手続です。

リスク対応手続とリスク評価手続の両方を行うことで決算書に重要な虚偽の表示がないかどうかを確認することが会計士による会計監査であると言えます。

(4)会計方針を各事業年度において継続して適用しているかどうかの確認を行います。

会計方針とは、企業が損益計算書及び貸借対照表の作成に当たって、その財政状態及び経営成績を正しく示すために採用した会計処理の原則及び手続並びに表示の方法のことを言います。

もっと簡単に言ってしまえば、決算書を作成するためのルールのことです。

このルールを毎年変更していた場合は客観的な決算書とは言えず、信頼性のない決算書であるということになってしまいます。

そこで会計基準では会計方針を継続して適用することを求めているのです。

一般労働者派遣事業に係る監査では、これに従い、会計方針が前年度より継続して適用されているかどうかを確認します。

一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等が行う監査において、事前に準備することとは?

一般労働者派遣事業に限らず、公認会計士や監査法人の監査を受ける際に留意すべきことは、事前にどのような資料が必要なのかを担当する公認会計士ときっちりと話し合っておくことです。

その際には人材派遣に関する知識がある公認会計士に監査を依頼することがとても重要になってきます。

公認会計士の報酬は基本的にはかかった工数に対して単価を乗じることとなるチャージベースで決定されることが多いです。

このような場合、可能な限り公認会計士の人の作業工数がかからないように配慮することで支払うことになる報酬を小さくすることが可能です。

一般労働者派遣事業に関する監査の場合は、必要な資料等が事前にきちんと揃っているケースの場合は、報酬もリーズナブルなものになることが多いと思われます。

一般労働者派遣事業等の許可審査に係る公認会計士等が行う監査の報酬は?

これはピンキリかもしれませんが、一応目安などはありそうですね。

新規に許可を得ようとする場合は、初めて監査を受けることになりますので、監査を遂行するために、ある程度の時間がかかります。

監査報告書の発行のための手続を全て実行するために、決算書の勘定科目(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、その他注記事項)をすべて監査するので、最短でも1日半~2日、監査を受けるために必要な資料等に不足がある場合は、もっと時間がかかってしまうこともあります。

更新の場合、対象となる勘定科目が少ないことと、「合意された手続実施結果報告書」(監査ではなくなります)になるので、時間は少なくなります。

合意された手続実施結果報告書というのは、公認会計士の人と依頼する企業の間で、検証すべき項目をあらかじめ契約で決めておき、その項目のみの妥当性を検証するものであり、決算書全体についての妥当性についてまでは検証しないものです。

決算書の一部分のみを検証するため、工数は若干削減されることになります。

監査に必要な資料が十分に揃っている場合は、監査は半日から1日で終了することもあるでしょう。

労働者派遣に関する公認会計士の監査においてよくあるご質問

Q1.どのような資料を提出することになりますか?

A.公認会計士が、独立した第三者として会社の決算書の適正性について検討を加えるため、対象とする中間又は月次決算書と、そこに記載されている計数の根拠となる資料(総勘定元帳、勘定内訳書、現金・預金の出納帳、銀行残高証明書、領収書、請求書、棚卸表、固定資産台帳等)をご提出して頂くことになります。

Q2. 特定労働者派遣業から一般労働者派遣業へと変更する場合は「新規取得」と「更新」どちらに該当しますか?

A. 過去において、一般労働者派遣業の許可を取得していない場合は全て「新規取得」になります。したがって、特定労働者派遣業からの移行の場合は「新規取得」に該当することになるものと考えられます。

Q3.料金はどれくらいでしょうか?

A.監査については300,000円(税別)〜、AUP業務の方は200,000円(税別)〜となります。

会社の規模やその他工数によってはもう少し高くなることも想定されます。

Q4.地方でも対応はしてくれるのでしょうか?

A.はい、対応させていただいております。

ただし、その場合は交通費および日当のご請求をさせていただくことがあります。

Q5.監査の実施者は誰になりますか?

A.当サイトの管理人が日頃からおつきあいのある公認会計士の方になります。

実績等全く問題ない方となります。

Q6.報告書の入手までにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか?

A.基本的に作業に必要な資料を全てご提出していただいたあと5日後程度で発行することが可能です。

もっとも、会社の規模や管理状況によっては多少前後することもあります。

Q7.ご依頼までの流れを教えてください。

A.以下のフローを参考にしてください。
完全にこれと一致しないケースもありますが、基本的にはこのようなフローにて監査証明の発行を行うこととなります。

① お問い合わせ先はこちら!E-mailで御相談・御見積もり依頼)    

② 当サイトに登録している公認会計士にお見積りに必要な資料(データにて「直近の月次試算表又は決算書(貸借対照表及び損益計算書)」)をメールして頂きます。

③ 資料を頂いてから、原則当日以内(繁忙期等においては多少前後する可能性はあります)にお見積額を御連絡致します。

④ 正式なご依頼をしていただきます。

⑤ 監査証明業務に際し、ご準備して頂きたい資料及び質問事項の一覧を送付致します。

⑥ 上記一覧記載の資料をご提出いただき、また、質問事項へご回答頂きます。

⑦ 公認会計士の方が監査の準備を行い必要を実施致します。

⑧ 監査証明日付以前の日程にて、公認会計士の方がオフサイトにて監査手続を実施致します。(ケースによっては会社にお邪魔して対応させていただくこともあります)

⑨ 監査手続完了後、監査証明を発行致します。

 

Q8.監査は公認会計士以外にも依頼できますか?

A. 一般的な用語における監査は内部監査などのようにどんな人でも担当することはできますが、労働者派遣業に関する監査は公認会計士法により、公認会計士以外は実施することはできません。

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