特別試験研究費の税額控除(OI型試験研究費)を受けるには監査が必要?公認会計士による特別試験研究費に係る監査証明について

特別試験研究費税額控除制度は、試験研究のために使用した費用の一定割合を税額控除できる、いわゆる研究開発税制の1つです。
産学官連携による共同研究及び委託研究を通じた基礎的創造的研究を促進する観点から、平成5年度税制改正で創設されましたが、平成25年度税制改正、平成27年度税制改正および平成29年度税制改正で対象範囲の拡大、要件緩和等の措置がなされております。

この特別試験研究費、いわゆるOI型(オープンイノベーション型)の試験研究費に関する税額控除を受ける場合においては、公認会計士、税理士、監査役、監査等委員である取締役による監査を受ける必要があります。

そこで、以下では特別試験研究費とは何か?という基礎的な情報から、特別試験研究費に関する特別控除を受けるためには、監査を受けたことを証明する書類を法人税の申告書に添付することが必要なことを以下で記載して行きます!

特別試験研究費とは?

特別試験研究費とは(法第42条の4第8項第9号、法第42条の4第6項など)
[box05 title=”(1)特別試験研究費の額“]
試験研究費の額のうち国の試験研究機関、大学その他の者と共同して行う試験研究、国の試験研究機関、大学又は中小企業者に委託する試験研究、中小企業者からその有する知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究その他の政令で定める試験研究に係る試験研究費の額として政令で定めるものをいいます。
つまり、試験研究費の定義を満たすもののうち、さらに一定の要件を満たしたものが特別試験研究費に該当するものになります。
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[box05 title=”(2)特別試験研究費の税額控除額”]
特別試験研究費の額(※1)に一定の控除率(※2)を乗じて計算した金額となります。
※1 総額型税額控除制度(法第42条の4第1項)又は中小企業技術基盤強化税制(法第42条の4第3項)の控除額の計算の基礎として、特別試験研究費の全部又は一部を組み入れた場合には、組み入れた部分の特別試験研究費については、特別試験研究費税額控除制度における控除額の計算の基礎に組み入れることはできません。
なお、ある特別試験研究費の額を総額型税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制の控除額の計算の基礎とするか否かは、申告法人の判断によります。
※2 特別試験研究費税額控除制度の控除率は、以下のとおりとなります。
・特別研究機関等若しくは大学等との共同研究又はこれらに対する委託研究 30%
・上記以外のもの 20%
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[box05 title=”(3)税額控除額の上限額”]
法人税額の5%相当額となります。
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上記の内容を簡単にまとめますと以下のようになります。

[box03 title=”OI型試験研究費の税額控除額”]
試験研究に要した試験研究費の額に一定の控除率(20%または30%)を乗じて計算した金額を、当該事業年度の法人税額から控除できる。
なお、その上限額は、総額型税額控除制度による控除額とは別枠で、法人税額の5%相当額となる。
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そもそも試験研究費の税額控除制度の概要を纏めます。

冒頭では試験研究費に関する税額控除一般に関する議論の前に、OI型試験研究費、すなわち特別試験研究費の税額控除に関する説明をさせていただきました。
しかし、特別試験研究費の控除に関する仕組みを理解する大前提として、そもそも試験研究費の仕組みがどうなっているのかを理解することが重要となります。

そこでまずは試験研究費に関する税額控除の制度について整理していきましょう。

[box05 title=”研究開発税制の種類”]
①「試験研究費の総額に係る税額控除制度」
②「中小企業技術基盤強化税制」
③「特別試験研究に係る税額控除制度」
④「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」

の4つの制度によって構成されています。
なお、①「試験研究費の総額に係る税額控除制度」と②「中小企業技術基盤強化税制」は同時に選択することはできません(選択適用)。
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(1)試験研究費の総額に係る税額控除制度

本制度は、青色申告書を提出する法人の各事業年度において、所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、当該事業年度の法人税の額から試験研究費の額の一定割合の金額を控除することを認めるものです(ただし法人税額の30%相当額が上限となります)。ここでいう一定割合(税額控除割合)は、次のとおりです。
(i)試験研究費割合*が10%以上の場合… 10%
(ii)試験研究費割合が10%未満の場合… (試験研究費割合 x 0.2)+ 8%

(2)特別試験研究に係る税額控除制度

本制度は、試験研究費の額のうちに特別試験研究費がある場合に、上述の(1)に加えて、この金額の一定割合を税額控除として認めるものです。ここでいう特別試験研究費とは、国の試験研究機関または大学と共同して行なう試験研究、国の試験研究機関または大学に委託する試験研究、その用途に係る対象者が少数である医薬品に関する試験研究などに係る試験研究費をいいます。

本制度における税額控除割合は、(12%-(1)で適用された税額控除割合)となります(ただし上述の(1)と合わせて法人税額の30%相当額が上限となります)。

(3)中小企業技術基盤強化税制

本制度は、青色申告書を提出する中小企業者等の各事業年度において、所得の金額の計算上損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、上述の(1)(2)の適用に代えて、当該事業年度の法人税の額から試験研究費の額の12%相当額の控除を認めるものです(ただし法人税額の30%相当額が上限となります)。

 

 

特別試験研究費・オープンイノベーション型(OI 型)の適用要件のうちには、事前確認が必要なものがあります。これらを期中から整理することで適用可能性が高まります • 専門家の監査が必要となる類型については、期中から税務ポリシー等を共有することで、監査手続きがスムーズになります

特別試験研究費税額控除(OI型試験研究費)は、税額控除なので、所得控除よりもタックスメリットを享受できます。

特別試験研究費税額控除制度は、試験研究のために使用した費用の一定割合を税額控除できる、いわゆる研究開発税制の1つです。

類似した制度に所得控除というものがあります。

所得控除の場合は課税所得を圧縮することができるというものになります。

これに対して、税額控除の場合は、課税所得に税率を乗じることで計算された税額からさらに控除を行うことができるというものになります。

つまり所得控除の場合は控除額に税率を乗じた金額が結果としての税額を減らすことができる金額となりますが、税額控除の場合はその金額がそのまま税額を減らすことができるのです。

特別試験研究費の額の監査及び確認

特別試験研究費の額についてはどのような事項につき監査が必要となるのでしょうか。
[box05 title=”特別試験研究費の額が“]
①関係法令及び当該契約又は協定に照らして適正であり、
②大学等が支出する当該共同試験研究に要した費用であって申告法人が負担したもの(当該契約又は協定において申告法人が負担することとされているものに限る。)に係るものであること
③申告法人が当該共同試験研究に要した費用の額(当該契約又は協定において申告法人が負担することとされているものに限る。)に係るものであること
[/box05]
につき、監査を受ける必要があります。

もっとも、ここでいう監査とは、いわゆる会計監査ではありません

監査とは、専門的な知識及び経験を有する者が行う検査及び適正である事の証明のことを言います。

具体的には、それらの者が、契約又は協定の内容、支出額の把握に当たり作成した当該支出額を客観的に判断できるような書類(例えば、①人件費を対象とする場合には、研究者が当該共同試験研究に従事した状況を説明する研究記録、②領収書等支出を証明できる書類)等を突合することにより、当該契約又は協定に従い負担した特別試験研究費の額であることを証明するものです。

この専門的な知識及び経験を有する者には、公認会計士若しくは監査法人、税理士若しくは税理士法人又は監査役、監査委員若しくは監査等委員が該当すると考えられます。
この証明については、これらの者による検査の結果、適正であった旨を記載した書類へのこれらの者の署名又は記名押印の方法により受ける必要があります。

ただし、ここで注意が必要となります
申告法人の役員又は従業員が公認会計士又は税理士の資格を有している場合であっても、原則として、それら申告法人の役員(監査役・監査委員・監査等委員を除きます)又は従業員は監査を行うことはできません

ただし、申告法人との間で監査に係る委任契約を締結する等して、第三者的な立場から監査を行うことができる場合は申告法人の役員又は従業員であってもかまいません。

しかし、申告法人の役員または従業員であった場合にどのような委任契約を締結すれば、第三者として認識されるのかについては、明確となっていませんので、ある程度リスクが存在することになるのかもしれません。

そのため、可能であれば、申告法人の役員や従業員の地位ではない第三者に依頼することがベターと考えられます。

OI型試験研究費に関する監査を受けるにあたっての留意事項

スケジュールに留意が必要となります。

税務申告の期限までに監査が終了し、監査を実施したことを証明する「特別試験研究費の監査に関する報告書」を受領する必要があります。

事前に監査を効率よくできるように準備ができている場合であれば、ある程度早く報告書を受領することも可能かもしれませんが、準備が全くできていない場合は、監査をするにあたって相応に時間がかかります。

そのため、自社の決算スケジュールや申告期限を念頭に置いた上で、なるべく早めに専門家に依頼する必要があります。

期末に依頼するのでは遅い

監査を依頼する際には、先ほどのスケジュールを適切に把握した上で、さらに言えば、試験研究費の範囲やその中でも特別試験研究費として認められるのかどうか、共同研究先における大学等から適切な時期に確認書等を入手できるのかなど、期中において、さまざまな点を確認しておく必要があります。

さらに、そのような状況を監査を依頼する人と共有しておかなければ、いざ監査の本番になった時点で、実はこういうことが足りなかったなどの問題が発生してしまうこともあります。

そのため、できる限り早めに専門家には相談をしておくことが望ましいでしょう。

OI型試験研究費に関する監査の成果物

繰り返しになりますが、OI型試験研究費に関する監査は会計監査ではありません。

そのため、会計監査を行なった結果として公認会計士等から発行される「監査報告書」はこのOI型試験研究費に関する監査においては発行されません。

しかし、何も成果物が発行されないとしたら、監査が適切に実施されたことを第三者に立証することが難しくなります。

そこで、経済産業省では会計監査の成果物ではありませんが、監査を適切に実施したことを証明する「監査報告書」の雛形をHPで提供しています。

監査を行なった公認会計士や税理士はこの雛形における「監査報告書」をクライアントへ提出することになります。

OI型試験研究費に関するQ&A

OI 型の控除対象となる費用の範囲はどのようになりますか?

[box04 title=”以下の通りです。”]

特定の相手方と共同試験研究・委託試験研究を行った場合において負担した費用、中小企業に支払った知的財産権の使用料が対象となります。
具体的には、以下のとおりとなります。
(1)共同試験研究の場合
契約または協定に基づく、自社外試験研究費(相手方が支出した共同試験研究に係る試験研究費のうち、申告法人が負担したもの)と自社内試験研究費(申告法人が自らの負担で支出したもの)の両方が対象となります。
(2)委託試験研究の場合
契約または協定に基づき、相手方が支出した費用のうち、申告法人が負担したものが対象となります
(3)技術研究組合による協同試験研究の場合
申告法人が技術研究組合の組合員である場合に、組合の事業に要する賦課金が対象となります(その際、組合の定款、規約または事業計画において、組合員の役割分担等が記載されていることが必要です)。
(4)中小企業に支払った知的財産権の使用料
契約または協定に基づき中小企業に支払った、当該中小企業の知的財産権(特許、実用新案、ノウハウ等)の使用料が対象となります。なお、試験研究の目的であるものに限られます。
[/box04]

連携の相手方が海外の事業者だった場合でも控除を受けることは可能でしょうか?

[box04 title=”可能です。”]共同試験研究の場合であれば、海外の事業者(個人や企業)・公的研 究機関・大学等であっても控除の対象となります(上記Q2の図では 「その他の者」に該当)。ただし、各種の要件等を満たす必要があることに留意が必要です。一方、委託試験研究及び知的財産権の使用料の場合には、対象とはなりません。[/box04]

OI 型を活用すると、総額型は活用できなくなるのでしょうか?

[box04 title=”できません。”]OI 型を活用するために計上した共同試験研究・委託試験研究に要した費用や知的財産権の使用料については、総額型を活用するための試験研究費として計上することはできません。
納税法人は、共同試験研究・委託試験研究に要した費用や知的財産権の使用料のうちどこまでをOI 型活用のための費用とするかを判断することができます。[/box04]

自社が中小企業の場合でも、OI 型を活用することは可能でしょうか。

[box04 title=”可能です。”]なお、OI 型を活用するために特別試験研究費として計上した費用については、中小企業技術基盤強化税制(控除率12%)を活用するための試験研究費として計上することはできません。[/box04]

OI 型の控除を受けるためには、確定申告までにどのような準備が必要でしょうか。

[box04 title=”相手方によって対応が異なります。”]
詳細については「特別試験研究費税額控除制度ガイドライン」
(以下「ガイドライン」という)をご確認のうえ、事前の準備に努め
て下さい。
(1)国の試験研究機関・国立研究開発法人(特別研究機関等)との共同試験研究・委託試験研究
1)相手方との契約または協定において、「費用の分担及びその明細」、「成果の帰属」、「成果の公表」など、規定しなければならない事項がありますので、ガイドラインを参考に事前に契約または協定の規定を整備してください。
2)共同試験研究・委託試験研究のために支出した金額を基に、特別試験研究費の額を算出してください。なお、税務調査に備え、支出額を客観的に判断できるような書類(研究記録や領収書等)の準備が必要です。
3)特別試験研究費の額については認定を受けることが必要です。試験研究機関等との共同試験研究・委託試験研究については、試験研究機関等の長又は当該試験研究機関等の属する行政機関に置かれる地方支分部局の長の認定が必要となりますので、告示に定められている手続に従って申請を行い、認定書の交付を受けてください。国立研究開発法人との共同研究・委託研究については、国立研究開発法人の長の認定が必要となりますので、共同試験研究を行った国立研究開発法人に手続を確認の上申請を行い、認定書の交付を受けてください。[/box04]

特別試験研究費にかかる税額控除を得るための公認会計士の監査証明を得るためのスケジュール

①当サイトの「お問い合わせ先」から必要記入事項をお書きいただいた上で送信ボタンを押してください。

②当サイトより改めてご連絡させていただきます。

③監査に必要な資料の提出をご依頼させていただきます。

④基本的には現場への往査は想定しておりませんのでご依頼を受けたタイミング以降1週間くらいで監査証明が発行可能となるものと想定されます。

特別試験研究費(OI型試験研究費)の監査証明についてはこちら!

OI型試験研究費による税額控除をお考えの方はできるだけ早いタイミングでこの分野の専門家とコンタクトを行うことが望ましいです。

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