学校法人会計に係る基本金の会計処理について

学校法人会計は企業会計とは異なるため、企業会計に詳しい人からするとなかなかとっつきにくいかもしれません。

しかし、コツを掴んでしまえば、それほど難しいものではありません。

ここでは、学校法人会計の細かい記載について一つ一つ追っていくのではなく、学校法人会計の中でポイントとなる事項について絞って解説を行って行きます。

その中でも、基本金の会計処理については、企業会計からの乖離が大きい項目と言えます。
そのため、本稿では基本金の会計処理について整理を行います。

学校法人会計のポイントである基本金の会計処理まとめ

基本金とは何か?

基本金の定義については、学校法人会計基準の第29項にて以下のように規定されています。

第二節 基本金
(基本金)
第二十九条 学校法人が、その諸活動の計画に基づき必要な資産を継続的に保持するために維持すべきものとして、その事業活動収入のうちから組み入れた金額を基本金とする。

この定義においてポイントとなるのは、

  • ①「その諸活動の計画に基づき必要な資産」
  • ②「継続的に保持する」
  • ③「保持するために維持すべき」と「その帰属収入のうちから組み入れた」

の三箇所となります。

その諸活動の計画に基づき必要な資産

文部科学省のHPによると、「その諸活動の計画に基づき必要な資産」に関する説明は以下のようになされています。

学校法人の基本的諸活動であるところの教育研究活動に必要な資産をいう。
この場合の教育研究活動に必要な資産とは、これを広く解し教育研究活動に直接使用する資産の他、法人本部施設・教職員の厚生施設等も基本金組入れの対象の資産となる。

簡単に言えば、教育に関する活動に必要な資産であるということを説明しています。

さらに、教育に関して必要な資産の概念を広く捉えて、直接かかわる資産の他に、本部施設や教職員の厚生施設なども基本金組入れの対象とする旨の記載があります。

継続的に保持する

文部科学省のHPによると、「継続的に保持する」に関する説明は以下のようになされています。

「継続的に保持する」とは、ある資産が提供するサービス又はその資産の果たす機能を永続的に利用する意思を持って、法人がその資産を所有するということである。
  したがって、(1)にいう「諸活動の計画に基づき必要な資産」であっても、当該資産を取得した時点で将来取替更新する必要がないことが明らかな資産は、基準にいう「継続的に保持する」に該当しないと解すべきであろう。
  また、法人が永続的に利用する意思を持って基本金設定の対象となる資産を取得した場合であっても、その後の法人の経営の合理化、将来計画の見直し等により当該資産を永続的に利用する必要がなくなった場合には、その時点で「継続的に保持する」ことに該当しなくなったと解すべきであろう。
  なお、継続的保持の判断に当たっては次の点が前提とされているので留意すべきである。
  「ア 私立学校振興助成法では、学校法人の責務として当該学校の教育水準の向上に努めなければならないものとしており(私立学校振興助成法第3条)、教育水準の低下を来たすような資産の処分は適当ではない。また一時的に教育水準の低下をもたらすことがあっても、速やかに元の水準に引き上げなければならない。
  イ 学校法人がその運営を行うために、常に一定額以上の運転資金を保持していなければならない。」(注1)

簡単に言えば、教育に関する資産を使える期間はずっと所有するという意思を持って、その資産を所有するというとが要件に該当してくるということです。

「保持するために維持すべき」と「その帰属収入のうちから組み入れた」

文部科学省のHPによると、「保持するために維持すべきとその帰属収入のうちから組み入れた」に関する説明は以下のようになされています。

 「その帰属収入のうちから組み入れた」とは、帰属収入から基本金への組入額を控除することをいい、「これは、学校の設置や規模の拡大その他学校法人の諸活動の計画に基づいて、学校法人が継続的に保持すべきものとして一定の資産を定め、これらの資産の額に相当する金額については、学校法人において継続すべき金額として基本金に組み入れて留保すべきであって(第29条、第30条参照)、これを消費支出に充てるべきではないという学校法人会計の基本的な考え方によるもの」(注2)である(これが「保持するために維持すべき」の意味となる。)。

したがって、「帰属収入の額からこの基本金組入額を除いた金額が消費支出に充当しうる消費収入の金額になる。」(注3)

  また、高額な固定資産の取得に係る基本金組入れを取得年度に集中することは、学校法人の経営状況を歪めることとなる。したがって、取得に先行して、基準第30条第2項に定める組入計画に従い、年次的段階的に基本金組入れを行うことが肝要である。

要は、収入の全てを消費に当てていたのでは、学校経営のリスクが大きくなってしまう可能性があるため、資産の額に対応する金額については支出の対象とはせずに、学校法人内で留保すべきである、ということでしょう。

学校法人会計の基本金の種類ごとの定義

第一号基本金

第三十条 学校法人は、次に掲げる金額に相当する金額を、基本金に組み入れるものとする。
一 学校法人が設立当初に取得した固定資産(法附則第二条第一項に規定する学校法人以外の私立の学校の設置者にあつては、同条第三項の規定による特別の会計を設けた際に有していた固定資産)で教育の用に供されるものの価額又は新たな学校(専修学校及び各種学校を含む。以下この号及び次号において同じ。)の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価額
一号基本金では、設立当初に取得した固定資産等のすでに取得した固定資産の価額を積み立てるものです。
すでに購入した固定資産に対応する基本金を積み立てるということになります。

第二号基本金

二 学校法人が新たな学校の設置又は既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額

二号基本金では、将来取得する固定資産の準備のために、積み立てるものです。

一号基本金が現在のリスクに対応しようとするものであるならば、二号基本金は将来のリスクに対応するものと考えられますね。

第三号基本金

三 基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額

ここは有価証券などの投資を想定していただくとわかりやすいかと思います。

学校法人も余剰資金等により金融投資を行うことがありますが、金融投資は学校法人の本来の機能からは乖離することになるため、一定のリスクは損することになります。

第四号基本金

四 恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額

これはいわゆるバスケット条項ということで、文部科学大臣が定める額を積み立てるというものです。

基本金は株式会社でいうところの資本金とは異なるの?

結論から言えば、両者は異なります。

基本金は事業活動収入のうちから組み入れた金額であるのに対し、資本金は投資家である株主が株式会社に対して投資を行う際に払い込みを行なったものです。

つまり、基本金は、入ってきたお金である事業活動収入のうちその一部を積み立てるものですが、資本金は株主が会社に対して拠出したものであるという違いがあります。

終わりに

学校法人会計の基本金の会計処理についてご理解いただけたでしょうか。

基本金の理解がおろそかな場合はうっかりミスをしてしまうことがありますので、必ず正確に理解するように心がけてくださいね。